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アクセス回数:40回 リリース日:1992年11月10日
水底の町
作詞 さだまさし 
作曲 さだまさし
さだまさし
八幡様の境内の 楠にはリスが住んでいた
石段下の泉には 蛍が飛んでた夏の日
裏山へゆけばクワガタや カブトムシやアゲハチョウがいて
夕立のあと夏草の 匂いが死ぬ程 好きだった
遠くでお寺の鐘が鳴って どこかの焚火の煙が
狭い谷間に重なるように じっと蟠っていた
僕の育った小さな町は 五年前の今日 湖の底に沈んだ

僕は都会のアパートで ささやかに独り棲んでいる
酒を借りては友達に 愚痴をいう日もあるけれど
何かこうして暮らすことが 長い夢をみているような
どこか本気じゃないような 思いになるのは何故だろう
本当の僕はどこかにいて 僕を捜しているようだ
ビルの谷間で夢たちが じっと蟠っている
僕を支える哀しい都会(まち)も とても大きな
湖に沈もうとしている

雨の少ない晴れた夏に ダムに立てば八幡様と
立ち枯れた楠が 少しだけ見える日がある
実はあそこの床下に 少年時代の
宝が一杯つまっている 箱が埋めてあるんだ
今ふるさとが 僕にむかって 大丈夫かと
尋ねてくれている

大丈夫 大丈夫 大丈夫……

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